慢性的な肩こりがあって整形外科やマッサージ、整体に通っている。治療した後はしばらく楽だけど、また辛くなる。
こんな事ってありませんか?
また、以下のような症状や似たような症状をお持ちではありませんか?このような症状がある場合、胸郭出口症候群かも知れません。
胸郭出口症候群って何?
胸郭出口症候群とは、神経が〇のところで圧迫あるいは牽引されて過敏な状態になり、首や肩・腕に痛み、痺れ、重ダルさなどを引き起こす疾患です。
圧迫型と牽引型・その両方を併せ持った混合型の3つに大別され、それぞれ異なった特徴があります。
胸郭出口症候群は長期化すると、約25%の方に自律神経症状(頭痛・立ちくらみ・不眠・胃腸障害・全身倦怠感などの不定愁訴)を伴います。
放っておくと治りづらく、時間を経てから治療を開始すると、治すのに時間を要します。
したがって、早期にしっかりと治すことが大事になってきます。
圧迫型の特徴
筋肉質で怒り肩の男性に多く(男2:女1)、年齢も比較的高い傾向にあります。
腕を上に上げる姿勢をとる方に多いです。
牽引型の特徴
若い女性に多く、首が長くなで肩、猫背で顎が前に突き出した姿勢の方に多いです。
正面から見ると鎖骨は水平か少し肩のほうに向かって下がっており、鎖骨上窩(鎖骨の上にある窪み)が消失し肩甲骨の位置がずれます。
腕を下におろしている姿勢の時に症状が出やすい。
腕の重さによって神経が牽引され症状が出ます。
鑑別疾患
似たような症状を起こす疾患として、重症筋無力症があります。
首や肩・腕に痛み、痺れ、重ダルさ、の以外にこのような症状があります。
- 初発症状として、眼瞼下垂(まぶたが下がる)、複視(物が二重に見える)という眼症状で発症することが多い
(腕・脚の筋力低下、嚥下障害=物がのみ込めない、言語障害、呼吸困難、すぐ疲労するなど) - 一般の筋脱力とは異なり、持続運動が困難で休むと体に力が入ってくるのが特徴
- まばたきをできるだけこらえ上を見続け、まぶたが下がるかを診る
(目を閉じる場合は上まぶたとともに下まぶたが上方に動くが重症筋無力症は上まぶたのみが下がる) - 握力を連続して測定すると、回数を重ねると握力の低下が著しくなったりする。
どういう人が胸郭出口症候群になりやすいの?
- スーパーなどの買い物袋を腕に持つ・ 洗濯物を干す作業をする主婦の方
- パソコン作業やデスクワークを長時間している。
- 通勤でつり革を掴んでいる会社員の方
- 美容師や教師などの職業で、顔より上に腕を挙げている事が多い方
- 不良姿勢(猫背姿勢など)のまま腕や手を酷使する方
- 交通事故などで首を痛めた方
- ストレートネック・猫背・いかり肩・なで肩などの姿勢不良の方
※症状は午前中よりも疲れの出てくる午後に強くなる傾向があります。
悪化すると安静時や、単に手を下げているだけでも痛み・痺れを訴えることがあります。
この症状は重症筋無力症と似ているので注意が必要です。
胸郭出口症候群の治療法は?
当院では鍼にて治療を致します。
(どうしても鍼が苦手という方は仰ってください。手技にて治療いたします)
胸郭出口症候群では斜角筋・胸鎖乳突筋・大、小胸筋・鎖骨下筋などの胸郭出口を構成する筋肉の緊張が見られます。
その筋緊張を取り除くことにより、胸郭出口を通過している神経への機械的刺激をなくします。
しかし、牽引の要因が強い場合は上記のように筋緊張を取りすぎてしまうと、神経に更に腕の重みがかかってしまい、症状を悪化させてしまう場合があります。
そのような時は、直接 神経に対してアプローチしていき、筋緊張は取りすぎないようにします。
胸郭出口症候群を予防するトレーニング
トレーニングは、やりすぎると症状を悪化させます。無理せず自分のできる範囲から、徐々に負荷を大きくしてください。
1セット10回を朝、昼、夜やるという程度でもかまいません。最初は物足りないなという程度で止めてください。
絶対に無理はしないでください。
壁立て伏せ
自宅でできるトレーニングとして、壁立て伏せがあります。
- 肩幅と同じくらいに手を開き、壁に手をつきます。
- 3秒かけて曲げ、3秒かけて戻す。これを繰り返してください。3秒が辛いということでしたら、2秒でも構いません。
- まずは1セット10回やってみましょう。きつければ5回でも構いません。
- まずは朝、昼、夜1セットずつやってみましょう。できるようになれば、セット数を増やすか、1セットの回数を12~15回にするなどしてください。
必ず徐々に増やしてください。(呼吸は止めずに行ってください。)
手を広げすぎると大胸筋を使ってしまい、より胸郭の出口を圧迫してしまいますので注意してください。
まずはこのような軽い運動から行っていきます。
膝立て伏せ
壁立て伏せで負荷が感じられなくなったら、膝立て伏せを行ってみましょう。
床、絨毯の上でやる場合、ひざ下にバスタオルを入れるなどして膝を保護してください。
入れないと膝が炎症を起こすことがあります。
注意点は壁立て伏せと同じです。
回旋筋腱板トレーニング
正しい姿勢で行います。
猫背のままだと猫背の姿勢のまま、筋力がついてしまうことがあります。
正しい姿勢を保持するために無理に力を入れず、自然体で力を抜いて立ってください。
親指を下に向ける、上に向ける両方の動作をやっていただきます。
分かりやすいように親指を立てていますが、実際には立てる必要はありません。
ゆっくりと上げ、ゆっくり降ろし、1セット10回を目安に行ってください。
朝、昼、夜1セットずつ。慣れてきたらセット数を増やすか、回数を増やしてみてください。
腕を上げるときは真横に上げるのではなく、少し斜め前にして上げてください。
チューブトレーニング
外転動作
これも上記のやり方と同じであり、より負荷が強くなります。
親指上下共に行ってください。
内旋動作(タオルを脇に挟んでください)
チューブを内から外にひきます。(①から②へ)
チューブではなくペットボトルでも同じ動作ができます。
全身の活動性を上げるため、ウォーキングや水泳などを組み合わせるとより効果的です。
外旋動作(タオルを脇に挟んでください)
チューブを内から外にひきます。(①から②へ)
チューブではなくペットボトルでも同じ動作ができます。
全身の活動性を上げるため、ウォーキングや水泳などを組み合わせるとより効果的です。