四十肩・五十肩とは?
四十肩・五十肩は一般的に40代、50代に生じる明らかな原因もなく起こる肩の痛みを伴う俗称です。正式には肩関節周囲炎といいます。肩だけではなく腕にも痛みが出現することもあり、痛みの種類は激痛だったり、徐々に痛くなったりと様々です。
特に典型的な症状は肩関節の拘縮で、腕が水平以上にあがらなくなります。また夜間に痛みが強くなるのも特徴の一つです。
四十肩・五十肩は自然に症状が緩和していく事がありますが、適切な治療をせず自然に身を任せて放置していると、肩の関節が固まってしまい治療がとても困難になることがあります。
また左右同時に四十肩になることはありませんが、しばらくしてから反対側の肩も四十肩になることはあります。例:1月1日に左右同時になることはないが、左は1/1 右は2/1に発症することはあります。
このように、上記のような状態になることも少なくはありません。こうなってしまうと日常生活も困難になりますので、早めの対応をすることが早期に治癒する近道となります。
四十肩・五十肩の3つの病期
四十肩・五十肩には特徴的な3つの病期があり、その病期ごとに施術のアプローチや注意点が異なります。
- 第1期: 疼痛期/炎症期(freezing phase・凍り始めた時期)
- 第2期: 凍結期/拘縮期(frozen phase・凍結した時期)
- 第3期: 解凍期/回復期(thawing phase・解凍した時期)
この3つの病期は学校の1学期・2学期・3学期のようにキレイに分かれるわけではなく、重なり合いながら移行していきます。
1.疼痛期/炎症期(freezing phase・凍り始めた時期)
症状が増悪する時期でpainnful phase(痛みを伴う時期)とも言われています。
この時期は動かすことはしませんので、徐々に関節が固まって動かなくなっていきます。
症状は大多数の症例で、いつから始まったのか見当もつかず、また明らかな原因もなく発現する肩周辺の漠然とした痛みが最初の症状になります。
痛みは一度出現しますと急速に増強することが多く、典型的な例では運動時は言うまでもなく、安静時にも出現し、中には前腕母指側から母指まで痛みが拡がる場合があります。(写真c)
痛みを回避するため反対側の腕で患肢の前腕を支える場合があります。(写真a)
また患側下の横向き寝ができなくなり、夜間に痛みを伴うことが多いため睡眠が妨げられます。(写真b)
肩の動きは痛みのため著しく制限され、腕をあげようとする際には代償性運動による「肩すくめ運動」が出現します。(写真d)
この時期の運動制限は全身麻酔をかけると消失するため、筋痙縮(筋肉が緊張しすぎた状態)が主体と思われています。
このような状態が2~9か月ほど続きます。
疼痛期/炎症期の治療目的
この時期は炎症が痛みを生じさせ、この痛みが筋痙縮を誘発し、筋痙縮がさらに痛みを増悪させるという悪循環を形成していきます。したがって治療は、抗炎症,鎮痛,筋弛緩と2次的な拘縮を予防することを目的とします。
簡単に言いますと、除痛がメインの施術になります。
よく四十肩・五十肩は動かしたほうがいいと言われますが、この時期は急性期ですので痛みが出る動きは極力してはいけません。痛みが出る動きをすれば、治療期間が延びる可能性があります。
したがって徐々に関節が固まり動きが悪くなっていきます。動かすのは2の凍結期/拘縮期に完全に入ってからになります。
しかし、全く動かさないとCRPSというとても厄介な疾患になることもありますので、痛くない動きや痛くない肘・手首・指などは積極的に動かすようにしてください。
2.凍結期/拘縮期(frozen phase・凍結した時期)
運動時や安静時の痛みが消失し、症状の主役が拘縮(関節が固まる)に変わる時期です。
痛みによる運動(動作)の抑制がなくなり、可動域が増すこともありますが、一般的には関節の可動域は徐々に減少していきます。
痙縮のため硬くなっていた肩周辺の筋肉は柔らかくなることがあり、萎縮もおこる場合もあります。
この時期の主訴は運動制限(可動域の制限)ですが、患者さん自身が運動制限を自覚しておらず、運動時痛(動作時痛)のみを訴えることもあります。
この状態が4~12か月持続します。
凍結期/拘縮期の治療目的
拘縮を取り除くことが主な目的になります。日常生活の指導や関節可動域の拡大が施術のメインとなります。
完全に凍結期/拘縮期に移行したら、疼痛期/炎症期とは違い、肩関節を動かしてあげることが必要となります。
しかし動かしてあげるタイミングが重要で、疼痛期/炎症期を脱していない時期に動かし過ぎると、かえって疼痛期/炎症期が伸びる場合があります。
「早く動かさないと関節が固まってしまう」という不安を持たれると思いますが、逆に早く関節を固まらせて凍結期/拘縮期に移行させたほうがよいのです。
もし関節可動域の訓練やセルフエクササイズをしていてその後、痛みが続いたなどがあった場合には、速やかに中止し関節を動かさない施術に切り替える必要があります。
3.解凍期/回復期(thawing phase・解凍した時期)
拘縮が徐々に改善し、痛みや不快感などが減少してくる時期です。
完全に消失するまで6~9か月かかることもありますが、早いこともあり、一定ではありません。
四十肩/五十肩の原因
四十肩/五十肩で固まるのは筋膜の癒着が原因です
本来、筋膜は表面が滑らかなコラーゲン組織で柔軟性に富み、隣り合う筋肉の動きをスムーズにします。
しかし関節を酷使したり血流が悪くなると組織に炎症が起こり、それにより筋膜同士が癒着を起こして痛みを引き起こします。
癒着した筋膜をどう施術するのか?
癒着を起こした筋膜は慢性的な緊張によって固くゲル化しています。
このゲル化したところに対し、持続的に圧を加えていくと圧電現象により結合組織の中にある「プロテオグリカン」が働き、固まった組織は流動性のゾル状態になります。これにより元の正常な状態に戻って癒着が解消していきます。
当院では癒着を解消するためにクリームなどの滑剤を使い、筋膜をリリースしていきます。
料金
初診の方は「初診 自費治療」のコースにてお取りいただき、ご要望の欄に「四十肩/五十肩」と、お伝えください。
四十肩/五十肩治療 | |
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初診料 | ¥1,100 |
施術費 | ¥4,950 |