過敏性腸症候群とは?
機能性消化管障害で器質的な異常はなく、便通異常に関連した腹痛が起こる。
便秘型・下痢型・便秘、下痢両方存在する混合型・分類不能の4つのタイプに分かれます。
病態)
下部消化管運動の亢進・内臓の知覚過敏・不安やうつなどの心理的異常が互いに影響しあいます。
ストレス、腸内細菌、粘膜の微小な炎症、粘膜透過性亢進、ゲノム(遺伝子・DNA)、脳の局所の形態学的変化などの関与があるのではと言われています。
心理的・社会的ストレスにより増悪しやすく、悪循環を起こし、これが症状を遷延化しています。
よく見られる合併症として
- 機能性ディスペプシア
- 胃食道逆流症
- 線維筋痛症・慢性疲労症候群
- 不安やうつ状態などの心理的異常
- 頭痛・胸痛・腰背部痛・月経前症候群・排尿時不快感
などがあります。
特徴)
突然の腹痛や便意が来るので、トイレの場所がどこにあるのか前もって確認しないと、外出できない。
IBSに限らず、炎症性腸疾患も若年発症例が多く、学校などで便の失敗をすると、それが強いストレスになり、更に病状が悪化する場合があります。
東洋医学的な過敏性腸症候群(IBS)の考え方
IBSは腹痛・便秘・下痢が主症状なので、東洋医学的には脾・胃という臓腑の失調ととらえます。
脾と胃の働き)
脾は運化、胃は受納・腐熟を、つかさどります。
運化とは、運搬・化成という意味で、飲食物から栄養素を吸収して全身に運ぶというような意味です。
脾は気・血・精・津液(水分)=生理物質、を作り出します。
受納・腐熟は飲食物を消化・吸収するというような感じです。
脾と胃は密接にかかわっている臓腑で、中焦という場所にあります。
脾は昇清という力によって、生理物質を上にあげます。
胃は残渣(食べ物の内、消化吸収されないもの)を降濁によって、下に送ります。
この上下の力がグルグルと中焦を回ることによって、消化器の働きを行っています。
これを中焦の気機といい、この気機が詰まった状態を阻滞といいます。
脾と胃は昇清と降濁によって気機を動かして、消化吸収をしています。
脾と胃の特徴)
脾は喜燥悪湿(きそうおしつ)[乾燥した状態を好み、湿気を嫌う]
温かい力によって動く臓腑で、湿気や冷えに弱い。
乾燥した状態で、陽気(温かい力)があると良く動きます。
胃は喜湿悪燥(きしつおそう)[湿潤な状態を好み、乾燥を嫌う]
陽の属性を持っているため、熱っぽい臓腑で、熱化しやすい。
潤っている状態で動きやすく、熱に弱い。
簡単にいうとこのような特徴を持っています。
脾が陰液(冷たい力)を与えて胃を熱化しないようにしており、胃は陽気を脾に与えて冷えないようにして、正常に動くようにしています。
この気機の関係と陰液と陽気をお互いに補充しあいながら、中焦を正常な状態に保っています。
この中焦のバランスが崩れると、腹痛・便秘・下痢などの症状を引き起こします。
他にもIBSには、肝の疏泄と腎陽の問題が関係しています。
東洋医学的な過敏性腸症候群の病因病機
- 疏泄の失調による脾の失調
- 過労による精気の不足
- 飲食の不摂生による腸管の内熱
①疏泄は精神刺激やストレスにより、失調します。
疏泄は脾の昇清をバックアップしており、失調することにより、脾の運化にも影響を及ぼします。
また疏泄が失調すると、外泄過多(外に漏れ出る)になります。 疏泄は外に行こうとする力があり、これが強くなると中に保っておけなくなり、IBSでは便意が強く促されるようになります。
②脾と腎は気を生み出す臓腑で、過労により気を消耗すると脾と腎は機能を失調します。
脾は飲食物から気血を作り、腎は精から原気を作ります、
過労により精気が不足すると腎精も不足し、脾に陽気を送れず、原気も作れなくなるので、脾の働きも悪くなります。
また脾と腎は固摂(体外に漏れ出ないようにする力)の力があり、様々なものを体の中に保っておく臓腑です。
この力が弱くなると、便意を我慢できずに漏れ出てしまいます。
③内熱を生むような食べ物の過食があると、腸管(胃・大腸・小腸)に内熱が起こります。
それにより脾と胃の協調運動に影響が出て、脾の運化に問題が起きます。
腸管に炎症や内熱があると、飲食物から正常に栄養素を吸収できなくなります。
当院での治療法
当院では上記のような問題があるととらえ、東洋医学的な考えのもと鍼灸にてアプローチしていきます。
※鍼が苦手な方は仰ってください。その場合はとても浅く刺します。(およそ4ミリぐらいで、皮下組織までしか刺しません)
主な原因は疏泄の失調・腸管の内熱・精気の不足になりますので、お話を伺い、問題があるところにアプローチしていきます。
治療のポイント
①“こころ”に対するアプローチと発散
ストレスがあると症状が悪化します。
何かしら発散できるようなことを見つけることが、症状を緩和すること繋がります。
一緒に見つけていきましょう。
②食生活の改善
ジャンクフード・甘いもの・脂っこいもの・小麦粉・乳製品・酒・カフェインなどの過食は症状を悪化させます。
食生活を改善し治療にて体を整えていくと、今まで食べていた体に悪いものが入ってくると、「具合が悪くなる」「お腹が張る」などの信号が明確になり、「これが問題だったんだな」と分かるようになってきます。
③気・血・精(栄養素)などの体への吸収効率を高める
食べ物の質が悪いと、吸収率が低下します。
吸収率が低下すると体に必要な物質が足りなくなり、それにより更に病状を進行させます。
また脾や胃の状態が悪いと吸収率が低下しますので、治療により脾胃を賦活させ、吸収率を高めていきます。
④悪循環を断つ
生活習慣のどこかに、悪循環を作っているものがあります。
生活習慣が今の症状を出していることに気づくのが大切です。
例)
・食べ物の質が悪い→熱っ気のある便が作られる(そうし)→そうし、が心神に影響を及ぼし、‘こころ,に影響を及ぼす。
・ストレスにより、便秘や下痢になる→便秘・下痢が新たなストレスになる→心神や疏泄に影響を及ぼす。
など
⑤体の阻滞(とどこおり)を取り除く
体と心はリンクしていますので、体に阻滞があると心にも阻滞が生じます。
心の阻滞は精神症状を出すので、取り除くことが大事になります。
料金
初診料 ¥1,100 施術代 ¥6,600
WEB予約の場合、《初診の方》治療 自由診療をお選びください。要望欄に「過敏性腸症候群」や「胃の問題」などとお書きください。
2回目以降の方は、【2回目以降】治療 全身調整(約60分)をお選びください。