夜遅くまで起きて、テレビやゲームをして遊んでいる。
しかし朝はなかなか起きられない。
怠けているように感じるでしょうか?
これは起立性調節障害によくみられる光景です。
起立性調節障害は、心の病気ではありません。体の不具合による病気です。
※子供に多い病気ですが、大人でも子供の頃に起立性調節障害があったのであれば、自律神経の調整力が弱い体質は残っているため、症状が出ることがあります。
こんなお悩みや経験ございませんか?
- 不登校になっている
- 朝や午前中の調子が悪い
- 思春期に朝起きるのが辛い
- 夜は元気でなかなか寝付けない
- 立ちくらみやめまいを起こしやすい
- 体がだるい・疲れやすい
- 乗り物に酔いやすい
など
もしかしたら起立性調節障害(OD)かも知れません。
このような症状があるようでしたら、当院にご相談ください。
丁寧にカウンセリングをし、対応いたします。
起立性調節障害(OD)チェックテスト
(11項目のうち3項目当てはまる場合ODを疑う)
- 朝起きられず、午前中は調子が悪い
- 立ちくらみやめまいを起こしやすい
- 入浴時、または嫌なことを見聞きすると気分が悪くなる
- 立ち上がった時や立っているときに気持ちが悪い。ひどいときは失神する
- 少し動くと心臓がドキドキする。または息切れがする
- 頭痛がある
- 腹痛がある
- 食欲がない
- 顔色が悪い。青白い
- 乗り物酔いしやすい
- 体がだるい。疲れやすい
起立性調節障害(OD)とは?
たちくらみ、失神、朝起き不良、倦怠感、動悸、頭痛などの症状を伴い、思春期に起こる自律神経機能不全の1つです。
血圧を維持する交感神経の活動が低下しており、血圧を維持できず低下して脳や全身の血流が維持されなくなり、立ちくらみやふらつきが起こります。
血液による酸素や栄養の供給が不足し疲れやすく、思考力も低下します。
小学校高学年から多くなり、中学生になると更に増えます。
中高生の1割に発症していて、年々増加傾向にあります。
性差として、1:1.5~2で女子に多い傾向にあります。
子供に多い病気ですが、大人でも子供の頃に起立性調節障害があったのであれば、自律神経の調整力が弱い体質は残っているため、症状が出ることがあります。
【症状】
思考力低下・判断力低下・成績低下・イライラ・午前中の無欲状態など
めまい・立ちくらみ・動悸・倦怠感・冷え性・頭痛・腹痛・車酔いなど
ODの子供が感じている症状は、生活習慣の乱れや夜更かしが原因ではありません。
自律神経のバランスが崩れることが大きな原因です。
【特徴】
日内変動・・午前中に症状が強く、午後から元気になる
季節変動・・春から夏にかけて症状が悪化し、秋から冬にかけて緩解(逆の場合もあり)
健康な子供との違い
1・自律神経のバランスが崩れている
自律神経には交感神経と副交感神経があります。
交感神経は主に活動を司り、副交感神経は主に休息を司ります。
この2つの神経が2重に支配することで、体を最適な状態に調節しています。
体調は相反する2つの神経が、バランスを取りながら調節しています。
ODの子供は、この2つの神経のバランスが悪く、機能がうまく働かないために、体調を崩してしまい、また体調を立て直すのが遅くなります。
ODの子供は、体の内と外の状況に合わせて、体調を調節するのが苦手なのです。
ODの根本的な原因は、自律神経の機能が失調していることです。
交感神経や副交感神経の働きが、強すぎたり弱すぎたりすることにより、調節するバランスが崩れて様々な症状が出ます。
2・血圧
血圧を維持する交感神経の活動が低下しています。
血圧が低下しているため、脳や全身の血流が維持されなくなり、立ちくらみやふらつきがおこります。
自律神経は本来であれば即座に反応しますが、ODの子供は即座に反応ができず、重力に負けて血液が下半身にたまります。
そのせいで脳の血流が低下することで、不快な症状が起こります。
3・体のリズムが大幅にズレている
人間はサーカディアンリズム(概日リズム)という体内時計を持っています。
このリズムは健常人は約25時間で、1時間の誤差があります。
朝日を浴びるなどして、1時間の誤差を修正しています。
ODの子供は、このリズムに問題があります。
ODの人は5~6時間以上後ろにズレていたり、反対に短すぎる場合があります。
1時間くらいなら修正できますが、ここまでズレてしまっていると修正することが難しくなります。
体内時計もズレていて自律神経の働きも悪いため、調節ができません。
そのため更にズレが大きくなり、昼夜逆転してしまうことがあります。
健康な人は交感神経が朝から活発になるので、日中は活動的になるのが普通のリズムです。
ODの子供は自律神経に問題があり、朝は活動するためのエンジンがかかりにくいことがあります。
したがって仮に夜早く寝たとしても、朝起きることができないことがあります。
どのような性格の人がなりやすいか?
- 小さいころから「いい子」
- 周囲に合わせて行動する(気配りができて、周囲に気をつかう)
- 意思表示やわがままが少ない(NOと言えない)
起立性調節障害(OD)を発症する人は周囲に気を使うタイプが多く、自分の気持ちを表に出さない傾向があります。
精神的なストレスを溜め込みやすいタイプですので、ODを発症すると感情が爆発することがあります。
ODの人に精神的なストレスを与えると、症状がひどくなります。お気を付けください。
心身医学の考え方によると、心と体は密接に関係しており、心の状態が悪いと、病気を発症したり持病を悪化させます。
これを心身症といいます。ODも心身症の1つです。
うつ病と間違われることがあります
起立性調節障害は症状に共通点もある為、うつ病と間違われることがあります。
それにより抗うつ薬を服用してしまうと、人によりますが症状を悪化させることがあります。
(ODとうつ病を併発する場合もあります)
うつ病の診断基準
□不眠、睡眠過多
□気分の落ち込み、気力の減退
□イライラした気分
□集中力の減退
□無価値観、罪悪感
◇興味、喜びの感情の減退
◇著しい体重の減少や増加
◇焦りや投げやりな気分
■夜になっても元気がなく、イライラしたり、涙ぐんだりする
■死について考える
うつ病は、□◇■のうちいずれか5つが当てはまり、そのうちの1つは、気分の落ち込みか、興味・喜びの消失があれば、発症が疑われます。
□の欄の気分の落ち込みですが、ODの場合、1日中続くことは少ない
◇の欄の症状はODにも時々あります。
■の欄の症状はODにはあまりない症状
うつ病とODの明らかな違いは、夕方から夜にかけて症状が軽快するかどうかです。
うつ病は、ほとんど1日中、気分が落ち込んで気力がなく、活動的にはなりません。
ODの子供は夕方から夜にかけて活動的になり、健康な人と変わらないようになります。
午前中は、うつ病と似たような感じになることがある為、うつ病と診断されることもあります。
したがって、朝 昼 夕方 夜など、時間によってどうなっているかを観察する必要があります。
当院での治療方法
東洋医学的な観点から症状だけではなく、体の反応や子供の訴え、ツボの反応を見ながら根本的な原因に対して、治療をしていきます。
鍼(はり)とお灸にて気・血・精などの生理物質(体に必要な物質)が滞っていたなら(実証)循環を促し、足りていないようなら(虚証)これ以上体から出ていかないようにしていきます。
経穴(いわゆるツボ)は体に無数にあり、体の様々な所と繋がっています。
自律神経は体の内面(内臓など)をコントロールする神経です。
体の内面の状態が悪いと、繋がっているツボにも反応が出ます。
そのツボに施術をすることにより悪い所に刺激が行き、そこが改善されると自律神経も整っていきます。
鍼灸により全身のバランスや生理物質を調整すると治癒力が増し、ストレスや外部環境から受ける刺激に負けない、健康的な状態に変化していきます。
もちろん鍼灸治療だけでなく、その状態を起こしている原因が日常生活にもありますので、可能な限り、その原因が解決できるよう協力していただければと思います。
※鍼が苦手な方は仰ってください。その場合はとても浅く刺します。(およそ4ミリぐらいで、皮下組織までしか刺しません)
起立性調節障害の子供は体が辛いのに原因が分からず、苦しんでいます。
頑張ろうと思っていても思うように体が動かず、自分ではどうしようもありません。
そうなると「自分はダメな人間だ」と思うようになり、自尊心が傷つき、引きこもりになるケースもあります。
暗い夜道を出口も分からず、不安な状態で歩いています。
少しでもその苦しみを、解消させてあげましょう。
治療する側、親御さん、学校の先生が親身になり、子供に寄り添っていけば必ず良くなります。
まれに聞くケースとして、起立性調節障害(OD)を発症したことがある人が自身の経験から、「起立性調節障害は気の持ちようだ」と言われることがあります。
ODは人により重症度が違います。
当たり前の話ですが、ある人が軽度だったからといって、すべての子供が軽度だとは限りません。
風邪をひいた全ての人が、全く同じ症状で、症状の程度も同じ、なんてことはあり得ないですよね。
そういう考えは、起立性調節障害の子供にとって良くありません。
早く楽しく生活が送れるよう、温かい目で見てあげてください。
料金
6,600円/初診料1,100円
WEB予約では、「自律神経が乱れている方」をお選びください。
ご要望欄に、ODもしくは起立性調節障害とお書きください。
起立性調節障害の子供への対応の仕方
ODの子供は、決して怠けているわけではありません。頑張りたいのに頑張れない状態です。
その人に「頑張れ」「怠け者」など叱咤激励するのは、更に病気を進行させます。
常に平常心で接してあげ、しっかりと話を聞いてあげてください。
不安や心配は子供に伝わります。
良いところをほめてあげる
良い所をほめることで良い所が強化され、悪い所が改善されることもあります。
些細なことでも素晴らしい所を見つけたら、しっかりと喜び、しっかりと褒めてあげてください。
それを根気よく続けていくことにより、何らかの変化が見られます。
※心配しすぎると「親が自分を見てくれている」と、不適切に満足させてしまうことがあります。
これを心理学では「強化子(きょうかし)」といい、悪い行為や悪い状態を強化することになります。
良い所に注目して、悪い所を強化しないようにしましょう。
起立性調節障害の対応の仕方 その2
生活にある程度ルールを設けてください。一定のルールを決めて生活のリズムを整えましょう。
ルールもいきなりたくさん設けるのではなく、簡単なものから実行してください。
セルフケアやルールを毎日実践するのは根気がいります。
できていないからと、親御さんが口うるさく言うと、かえってやらなくなってしまいます。
まずは子供自身が起立性調節障害に対して、前向きに立ち向かえる気持ちになるよう導くのが大切です。
最初から全てやるのではなく、1つでもいいので出来ることから始めてみる。そしてそれを継続する。
というように子供のペースに合わせて、少しずづ始めてください。
ルールの中にはなかなか守れないものもあります。できないものを責めたり、強要しないようにして下さい。
例)
- 食事について
食事は決まった時間に取る
食事中はテレビを見ない
夕食は家族全員でたべる
- 時間について
家族全員の入浴時間を決める
就寝時間を決める
散歩の時間を決める
週末は家族全員で過ごす
- ゲーム、テレビ、スマホについて
ゲーム、テレビ、スマホは1日1時間以内にする
テレビは何曜日の何時に限る
など、できそうなものから実行してください。
- 不安や心配は抑えて平常心で接してください
子供を心配しすぎることで“親が自分を見てくれる„と子供を不適切に満足させてしまいます。
これを強化子(きょうかし)といい悪い行為や悪い状態を強化することになります。
子供の前でけんかはしないようにして下さい。
- 食事は水分や塩分を標準より多めにとるようにする
- 水分
1日1.5~2リットル 水分は何でもいいです。
- 塩分
1日10~12グラム
塩辛いものを少し多めにとる
梅干しやお味噌汁、塩辛いものを食事に入れるようにして、症状が良くなれば元に戻してください。
- 朝
朝起き上がるときは頭を下にした状態で起き上がるようにして下さい。
起き上がるときはゆっくりと動いてください。
7時ごろにはカーテンをあけて部屋を明るくする。
「今は7時だよ。」と声かけながら、優しく体をさすってあげてください。
本人が起き上がるまでに10~20分ごとに声をかけ続けながら体をさすってあげる。無理やり起こさないようにしてください。
- 昼
日中は体が辛いからといって横になってばかりでは症状を悪化させます。
休みたいときは上半身を起こした状態で椅子に座って休んでください。
運動不足解消の為に毎日散歩などの運動をする。目安は30分。
寝る直前や激しい運動を夜遅くまですると、交感神経が高ぶって寝れなくなるので注意してください。
- 夜
・ぬるめのお風呂につかり、体が冷える前に寝るようにして下さい。湯船から出るときは脳貧血防止のために、頭を下げゆっくり立ち上がって下さい。
それでもクラクラするときは、湯船から出る前に手を冷たい水につけてください。
・寝る前にストレッチなどをして筋肉をほぐしてください。
起立性調節障害の人は他の人より肩こりなどをしやすいので、寝る前以外にも時間があったらストレッチするようにして下さい。
・23時までに寝床に入る習慣をつける。
何時に寝れば翌朝きちんと起き上がれるのか試行錯誤して自分に適した就寝時間を決めてください。
・静かな音楽をかけて眠りを誘うのも良いです。
・寝る少し前から部屋の明かりを暗くして下さい。オレンジ色の薄暗い電灯はメラトニンの分泌を促して眠りを誘いやすいです。
・パソコン、スマホの連続使用は30分以内 合わせて1日1時間以内にしてください。