妊娠に必要な栄養素 鉄

こんにちは。はりきゅう手技療法えにし蒲田の寺澤です。

鉄は粘膜の材料になり、子宮環境を整える大事な栄養素です。

子宮内の粘膜はクッションの役割をし、受精卵が着床しやすいようにフカフカのベッドのようになっているのが理想です。

鉄が欠乏してしまうと粘膜の材料が足りず、硬い寝心地が悪いベッドになってしまいます。

ベッドの状態が悪いと受精卵が着床しづらくなるので、妊娠もしづらくなります。

鉄が欠乏している人は何気に多いです。

日本人の食事摂取基準2020年版/厚生労働省によると、推奨量は

月経ありの15~49歳は10.5mg/日
月経なしの15~49歳は6.5~7mg/日
妊娠初期・授乳期は月経なしの方の+2.5mgなので 9~9.5mg/日
妊娠中期・後期:月経なしの方の+9.5mgなので おおよそ16mg/日
摂取量の上限は40mg/日

になります。

一般的な血液検査では、赤血球に含まれるヘモグロビンや、血液中にどれだけ赤血球があるかを調べるヘマトクリットを調べていることが多いです。ここの数値が正常であるため、鉄は十分になると思っている方が多いように感じます。

鉄は7割近く赤血球に含まれています。それ以外には、血清鉄、組織鉄、フェリチン(貯蔵鉄)に含まれています。

フェリチンは貯蔵鉄なので、いわゆる貯金している鉄になります。このフェリチンが少ない状態が「潜在的な鉄欠乏=隠れ貧血」になります。

潜在的な鉄欠乏は、破産する一歩手前みたいな感じですかね(;^_^ 結構まずい状態です💦

鉄を消費する際は、まずフェリチンから減っていきます。

女性は生理があるため、毎月30mgの鉄分を失っています。

妊娠中の女性はご自身だけではなく、お腹に赤ちゃんがいます。

その赤ちゃんにも酸素を運ばなければならないため、赤血球の量が増えます。(赤血球は酸素を組織に運ぶ役割があります。)

赤血球の量は、妊娠前の倍ぐらいの量を必要とします。

鉄は赤血球を作っていますから、量が増えれば鉄を消費します。妊娠すると、貧血になる妊婦さんが増えるのはこのためです。

また妊娠中は胎児の成長発達に鉄が必要不可欠なため、母体から鉄が失われます。

「2人目の出産から調子が良くない」という方は、1人目の時にたくさんの鉄が失われていたのに、鉄欠乏が回復していないうちに2人目を授かったことが原因の場合もあります。

鉄が不足すると脳の神経伝達物質の合成がうまくできないため

・くよくよする

・やる気が起きない

・夜中に目が覚める

・不眠などの症状が現れることがあります。

鉄にはヘム鉄・非ヘム鉄がある

鉄にはたんぱく質と結合しているヘム鉄 と たんぱく質と結合していない非ヘム鉄があります。

非ヘム鉄:植物性の食品に多い。

ヘム鉄:動物性の食品に多い。

どちらも鉄だから気にしなくてもいいだろうと思ったら大間違いです。

非ヘム鉄は非常に吸収率が悪いんです。また、錠剤の鉄は非ヘム鉄で、吐気・便秘・下痢などの消化器系の副作用が出たりします。病院などで処方される貧血用の薬の多くは非ヘム鉄になるので、飲んでもなかなか貧血が改善しないということがあります。

なので、胃腸が弱い人は注意が必要ですね。

非ヘム鉄は単独では吸収されづらいので、ビタミンCなどの吸収を促進する栄養素が必要になります。《他にはクエン酸・動物性たんぱく質・CPP(カゼインホスホペプチド)など》

食物繊維やタンニンなどと一緒に摂ると、めちゃめちゃ吸収率が悪くなります💦

鉄の錠剤などを飲んだ後に、排便が黒くなっているのは、吸収されなかった鉄が黒くなっているのです。

いっぽうのヘム鉄は吸収率は非ヘム鉄の5~10倍。(2~3倍との表記もあり)

しかも副作用もなく、食べ合わせが悪いものもありません。

ですので、摂るのであれば動物性の食品に含まれたヘム鉄を積極的に取るようにしてくださいね。

ビタミンC・タンパク質・ビタミンB群が十分にあると効率的に吸収できます。

鉄に限らずですが、腸内環境が悪い、ピロリ菌がいる、歯周病があるなんて人は吸収率が悪くなりますので、治療をしたほうがいいかも知れません。

鉄欠乏のまま妊娠してしまうと、赤ちゃんも鉄欠乏になります。胎児期の鉄欠乏は、脳の発達への影響がでる可能性があります。

また赤ちゃんに鉄がいきわたらなければ、早産・低体重・未熟児で生まれる可能性もあります。

ちなみに余談ですが、鉄は女性の美しさにも関係しています。

コラーゲンは食べてもそのまま吸収されるわけではなく、一度体内で分解されます。そして再合成するときに鉄が必要になってきます。(後はたんぱく質とビタミンCも必要)

鉄が不足しているとコラーゲンが作れなくなりますので、シワが増えてしまうというわけですね💦

ヘム鉄多い食品:牛レバー、豚レバー、鶏レバー、赤身肉、鴨・豚・鶏肉、カツオ、サバ、イワシ、コンビーフなど
あさりはヘム鉄、非ヘム鉄の両方入っていますが、非ヘム鉄のほうが多い。
※100グラム当たり※
豚レバー:13mg 鶏レバー:9mg 赤貝:5mg

鉄と亜鉛が含まれる食品は共通することが多いです。

魚の血合いはヘム鉄が豊富ですが、メチル水銀も多く含まれているので、妊娠中の女性は食べないほうがいいと思います。

また大型の魚も生物濃縮があるため、注意してください。

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